「クロスステッチ作品の販売をしたいけど、市販の図案本から刺繍したものは販売してもいいの?」
「キャラクター作品は刺繍してもいいの?」
今回はそんな疑問に関わってくる刺繍作品の著作権について解説します。
著作権は絶対守らなければいけない法律上のルール。
一歩間違えれば刑罰の対象になります。
著作権を理解したうえで刺繍を楽しみましょう♪
著作権とは
著作権とは、一言でいうとオリジナルの作品を作った人がその作品を無断で他人に利用されないための権利です。
著作権を侵害した場合には、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
ちゃんと知っておきましょう!
権利の侵害
著作権のある著作物を著作権者の許諾を得ないで無断で利用すれば、著作権侵害となります。ただし、許諾なく使える場合(著作物が自由に使える場合は?参照)に該当するときは、無断で利用しても著作権侵害にはなりません。
また、著作者に無断で著作物の内容や題号を改変したり、著作者が匿名を希望しているのに著作物に勝手に本名をつけて発行したりすれば、著作者人格権侵害となります。
さらに、無断複製物であることを知っていながら当該複製物を頒布(有償か無償かを問わず、複製物を公衆に譲渡・貸与することをいう)したり、頒布の目的で所持する行為や、著作物に付された権利者の情報や利用許諾の条件等の権利管理情報を故意に改変する行為なども権利侵害となります。
1. 民事上の請求
上記のような権利侵害の事実があるときは、権利者は侵害をした者に対し、次のような請求をすることができます。
侵害行為の差止請求
損害賠償の請求
不当利得の返還請求
名誉回復などの措置の請求
こうした請求に当事者間で争いがある場合には、最終的には裁判所に訴えて判断してもらうことになります。2. 罰則
著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。
また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。
さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます。
なお、「懲役刑」と「罰金刑」は併科されることがあります。
刺繍の著作権とは
具体的に刺繍を楽しむ中での著作権は何が対象になるでしょうか?
その答えは、刺繍の元となるデザイン・図案に当たります。
デザインや図案は、作者が時間をかけて考えたもの。
だから著作物として著作権に守られる対象となります。
著作権の大原則
これからいくつかのケースに分けて著作権上〇か×かを判定しますが、まずは原則をご紹介。
私的利用とは、個人的もしくは家庭内もしくはこれに準ずる限られた範囲での利用を指します。
利益を得る目的で販売をしたりすることはNGになります。
この原則は覚えておきましょう!
私的利用の範囲がどこまでなのか、販売目的じゃなければいいのかという話は後段でしていきます。
著作権に関する質問Q&A
ここからはQ&A形式で実際にありそうなケースを〇か×かで考察していきます。
図案を利用して刺繍をすることは?
図案を利用して作った作品をプレゼントすることは?
図案を利用した完成品の販売は?
メルカリ等のフリーマーケットサイトで「有名作家さんの図案を元に刺繍しました!」と書かれて刺繍完成品が販売されているのが散見されます。
でもそれは人のふんどしで相撲をとる(=他人の力を利用している)ことです。
完成品だけでなく、図案をコピーして販売することや、図案を刺繍する有料ワークショップも同じくNGです。
他人の図案を利用して営利活動をしていると大きなトラブルにつながる可能性もありますので、絶対に控えましょう。
例外として、作者が商用利用OKもしくは著作権フリーと明言している場合には、販売が可能です。
有名クロスステッチ作家の大図まことさんは、一部商用利用OKの図案を販売されています。
自分でデザインした作品の販売は?
キャラクターやロゴ、芸能人の写真の刺繍はしてもいい?
刺繍はしてもいいが販売はだめ、これは著作権の大原則通りですね。
図案本から作った作品だけでなく、自分でデザインしたとしても販売NGな点に注意です。
ディズニーキャラクターやシャネルのロゴを利用したハンドメイド販売は実際に企業側から訴えられたケースもあります。
絶対に控えましょう。
Instagramに完成品を掲載してもいい?
私も含め、みなさん購入した図案から完成した刺繍作品をSNSにアップしていますが、
厳密にいうとこれはNGです。
ここまで私的利用であれば問題ないと説明してきましたが、刺繍の完成品は著作物の複製に当たり、かつ私的利用の範囲にSNSが含まれないと考えられない(=公衆送信にあたる)ためです。
また、営利目的でないとしても著作権者に無許可で完成品を掲載すること自体がNGです。
私も今回初めて知ったので、これから投稿の際には権利者に確認してから投稿するようにします!
ただ近年、一般人のSNSが商品販促の一部になっているケースも多々あり、形式的なものになりつつあります。
実際に訴えられる例はあまり見かけません。
結局は著作者が「SNSへのアップを問題ないと考えているかどうか」次第なので、念のため許可をとってからアップした方が無難です。
まとめ:著作権をきちんと理解して刺繍を楽しもう!
ここまで刺繍の著作権について説明してきました。
ポイントは以下の通り。
・図案の販売目的の利用はNG
・オリジナル作品の販売はOK
・キャラクターやロゴ、芸能人の刺繍の販売はオリジナルでもNG
・Instagramへの投稿は厳密にいえばNG、著作者から許可を貰ってUPしよう
著作権について理解が深まりましたか?
ルールを守って気持ちよく刺繍を楽しみましょう!